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2015年1月

事例…くれると言っていたんですけど…書面によらない贈与

私は月に1度、司法書士会の電話相談(ホットライン)の当番を受け持っているのですが、その際に、ひじょーに多い相談があります。
それが今回の題名にもなっている「くれると言っていたんですけど…」です。


Aさんは高齢で一人暮らしのため、色々不自由もあり、近所に住んでる遠縁のBさんに身の回りの世話をしてもらっていました。

Bさんは相続人ではありません。

Aさんの相続人は疎遠になってる兄弟Cしかいなかったので、日頃から「Bさんには本当に感謝している。私が亡くなったら、私の財産は全部あなたに貰ってほしい」と言っていました。

そして、ある日、Aさんが亡くなりました。

すると突然、疎遠だったCさんが現れ、Aの財産は全て自分の物だと主張してきました。

Bは「生前にAさんは私に全ての財産をくれると言っていたんですけど…」と主張しましたが、Cは「そんな話聞いてない」と言って取り合ってくれません。

どうにかなりませんか?



似たような相談は本当に多いですが、今回の事例は、相続人でない知人に対し、「私が死んだら財産をあげる」と言ってはいたけど、書面にしていなかったので、相続人が全財産の相続を主張してきたという事例です。

まず、贈与は書面でなく口頭でも成立します。
しかし、贈与はあくまで当事者間の契約なので『あげます』『もらいます』という両者の合意が必要です。

今回の場合、Aは『あげます』と言っていますが、Bは『もらいます』という意思表示をしていたかどうかが、まず問題となります。

仮に『もらいます』と言っていたのであれば死因贈与は成立していると考えられます。

しかし、これら一連の事実(『あげます』『もらいます』)は証人等により立証しなければなりません。

立証に成功し、贈与が認められたとしても、まだ問題はあります。

書面によらない贈与は、その履行が終わるまでの間、贈与者によって撤回することができてしまうのです。

今回は、現時点で履行(AからBへの財産の引き渡し)が済んでいないので、贈与者であるAの撤回する権利を相続したCは、この贈与を撤回することが出来てしまいます。

まぁこの場合、当前Cは撤回権を行使するでしょう。

ただ、救われる可能性はあります。

実は、たとえ書面によらない贈与であっても、撤回できない場合があります。

それは、贈与に負担(条件)が付いていて、贈与を受ける人がその条件をすでにクリアしている場合です。この場合は、たとえ書面によらない贈与であっても、撤回はできません。

簡単に言ってしまうと『家を掃除してくれたら、あげるよ』と言われて、家を掃除したとします。この時点で掃除という贈与の条件をクリアしているので、これ以降、書面によらない贈与であっても、好き勝手に撤回は出来ない。ということです。

今回の事例について考えてみます。
Aは「自分が死んだらBに貰ってほしい」としか言ってはいませんが、この発言は、BがずっとAの身の回りの世話をしていたことから考えると『今後も身の回りの世話をお願いします。その代わりに私が死んだら財産をあげます』という趣旨の発言であり、『Aが死ぬまでの身の回りの世話をする』という条件が付いた死因贈与と考えることもできます。(もちろん、そう考えられるだけの立証は必要です。)

この場合、実際にBさんがAの世話をやり遂げたことを証明できるのであれば、すでに条件をクリアしていることになるので、Cはこの贈与を基本的には撤回することが出来ないと考えられます。

とはいえ、これら一連の立証のハードルはとてもとても高いと言わざるを得ませんし、仮に立証できたとしても、多くの要因が絡んでくるので、絶対に認められます!とは言えないのが現状です。

やはり、書面によらない贈与は絶対に避けるべきです。

もし、あなたが誰かに何かをあげたいと考えるのであれば、しっかりと『書面による贈与』や『遺言』といった形に残してください。
そうしなければ、あなたの想いは実を結ばないばかりか、トラブルの種になってしまうかもしれません。

そして、もらう側の人も「くれる」と言われたのであれば、しっかりと形に残してもらえないか話してみてはいかがでしょうか?
もちろん、自分から「書いてくれ」なんて言うのは気がひける。財産目的みたいで嫌だ。という気持ちもわからなくはありません。
ただ、しっかりとした形に残さなかったばかりに、死後、余計なトラブルを招き、もっと嫌な思いをすることになるかもしれません。


死んでしまってからや、認知症になってしまってから、トラブルになってしまってからでは遅いんです。
安心して『これから』を迎えるためには『今』出来ることは『今』することがとても大事です。





新年明けましておめでとうございます。

新年、明けましておめでとうございます。

旧年は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

あっという間の1年。

もう平成27年です。

やっと平成26年に慣れたのに・・・。

おそらく、しばらくは書類に平成26年と書いてしまう日々が予想されますが、今年も頑張って司法書士をやっていきたいと思います。


今年は、頑張って去年のブログよりは多く更新したいと思っています(苦笑)

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