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2012年2月

共有持分

今回は、前回書いた遺言事例の中で出てきた共有持分についてお問い合わせを頂いたので、そのことについて書きたいと思います。

共有とは、複数の人で、一つのものを所有することです。
なので、金銭であれば、複数の人で所有する必要はないので共有の問題は発生しません。
(1000円を二人で共有する必要はなく、500円づつにきれいにわけられるので)

しかし、不動産はそうはいきません。

例えば、相続等でAとBが1/2づつ土地を所有することになった場合。

一つの土地を1/2づつ持ってはいるのですが、この時点では、どこからどこまでがAのもので、どこからどこまでがBのものという風には決まっていません。
あくまでも、この土地の全体に対して、お互いが使用や処分する権利を1/2づつ持っているにすぎません。

したがって、片方の意思だけでは土地を売ることは出来ません。

また、どちらが使うか、一緒に住むかについても原則話し合いです。

もし、それぞれが自身の意思で売ったり使用したり出来るように完全に二つに分けたいのであれば、まず、共有物分割協議が必要になります。
土地をどこでどういう風に分けるかの話し合いです。

しかし、土地というのは、切り分けることにより、道路の面し方、南向きの部分、間口などの条件が変わってくるため、価値がものすごく変わってきます。
そうなってくると、金銭的賠償なども含めて話し合う必要が出てくるため、困難を極める可能性が出てきます。

次に、話し合いがまとまったら、土地を分筆します。
分筆とは、土地家屋調査士さんに頼んで、正式に土地を分ける手続きのことです。たとえば12という地番の土地を、分筆すると12-1と12-2という土地に分けられます。

さらに土地の名義変更の登記をして、12の土地を共有していた状態から、12-1はAのもの、12-2はBのもの、と変更して、やっとAとBはそれぞれの土地を持つことが出来るようになります。

どうでしょうか?
かなり大変だと思いませんか?

やはり可能な限り不動産の共有は避けるべきだと思います。

遺言を書くのであればなおのこと、あえて共有にしなくてはいけない理由がない限り、共有にするような遺言はやめておいた方が良いのではないかと、私は思います。

遺言 事例1

依頼者は80歳女性。
財産は、現在、自分と長男が住んでいる土地と家屋。あとは預貯金と現金。
相続人は子供二人。

依頼者は、自分と一緒に住んで世話をしてくれている長男に、二男より少し多めに財産をあげたいと考えていました。
そこで、依頼者は、全財産のうち7/10を長男に、3/10を二男にあげる遺言を残したいとのことでした。

気持ちはわかりますが、せっかく遺言を書くのであれば、このような持分を指定するという方法はあまりオススメ出来ません。

預貯金や現金に関しては、7/10と3/10にスッキリ分けることが可能なので全く問題ありませんが、不動産はそうはいきません。

もちろん、二人で共有することは出来ますが、その場合、現実的には二人の合意によってのみ処分することができるので、どちらかの一方の持分だけを売ることは難しいと思います。

したがって、お母さんの死後、兄弟が合意のもと、不動産を売却し、売却代金を持分通りに分けるつもりであれば問題ありませんが、長男が売却の意思がなく、住むつもりであれば、大問題です。

なぜなら、二人の共有の不動産に長男が住むのであれば、二男としては、売ることも、使うこともできない不動産の持分を持つことになってしまうからです。

当然、持分を持っている以上、二男にもその不動産を使用する権利があるので、同居するという方法もあるかもしれませんが、現実的にはどうでしょう。

また、長男を追いだすのも、長男も持分を持っている以上難しいと思います。

そうなると、二男は家賃払え!俺の持分買い取れ!と言ってくるかもしれません。

現実に似たような事例で、「兄が我が物顔で占領しているのが許せない」と相談を受けた事があります。

せっかく遺言を書かれるのであれば、後々、争いが起きないように配慮するべきです。
今回の場合、土地建物は長男。預貯金は二男という指定をされる方がよいと思います。
ただし、預貯金より、不動産の価値の方がかなり高い方がほとんどだと思いますので、遺留分には特に注意が必要です。

遺言と死因贈与

遺言による贈与を遺贈と言います。
死亡した時に効力が発生する贈与を死因贈与と言います。

両方とも、死んだ場合に財産を無償であげるという意味では共通しています。
では何が違うのか。

簡単に言ってしまうと、
遺贈は、財産をあげる側の一方的な意思。
死因贈与は、財産をあげる側ともらう側の意思の合致による契約です。
遺贈は一人で出来ますが、死因贈与は一人では出来ないということです。

そうなると、この二つをどうやって使い分けるかが問題です。

例えば、遺言は一方的な意思なので、いつでも撤回が可能ですが、死因贈与は、撤回が制限されることがあります。

また、こういう使い方も考えられます。
遺贈は遺言によってなされます。遺言の内容は死ぬまで秘密であることがほとんどのため、財産をあげること自体を内緒にしておきたい場合に良いかもしれません。

逆に、『私が死んだら財産をあげるから、死ぬまでは私の面倒をみて』と言った具合に、あらかじめあげることを伝えておいた方が効果的な場合には死因贈与の方が良いかもしれません。
ちなみに、この場合は負担付死因贈与と言います。ある一定の負担をお願いする代わりに贈与するという契約です。

何かの参考になれば。

受け取り拒否

今回は、前回に引き続き、裁判所からの郵便についてです。

前回は、裁判所からの郵便を受け取った後の事について書きましたが、今回は郵便を受け取らなかった場合です。いわゆる受け取り拒否とか居留守です。

実際問題、裁判所からの郵便を、そこに住んでいるのにもかかわらず受け取らない方がちらほらいらっしゃいます。

たしかに、前回も書きましたが、原則として、郵便自体を受け取らなければ裁判所の手続きは進みません。ただ、それで済むのであれば、逃げ得(?)を許すことになってしまうので、そううまくはいきません。

「書留郵便に付する送達(付郵便送達)」というのがあります。

裁判所からの郵便を、相手が受け取らなくても、「裁判所から発送した時点で届いたことにする」という特別な方法です。

ただ、この方法を利用するには「相手方は受け取らないけど、そこに住んでいる」ことを疎明(証明みたいなもの)する必要があります。

簡単に言ってしまうと、実際に相手の住所地に行き、現地調査(表札や郵便受け、電気メーターのチェック、近所の方への聞き取りなど)をして「報告書」を裁判所に提出することになります。

これが認められれば、相手が受け取らなかったとしても、受け取ったことにすることができます。普通よりひと手間かかってしまいますが、とても有用な手続きです。

裁判所からの郵便

裁判所から何やら郵便が届いた。その内容は、全く身に覚えのないもの。

さぁ、どうしますか?

架空請求は無視しましょう!絶対取りあわないように!といった事をよく耳にします。

しかし、これはあくまでもメールやダイレクトメールの類の架空請求です。

裁判所からの郵便は絶対に無視してはいけません。

裁判所から送られてくる郵便は、特別送達といったもので送られてきます。これを受け取ると、いついつ受領したと裁判所に通知が行き、裁判所も「相手方に書類が届いた」ということで、その中身が身に覚えのある内容であろうが無かろうが、手続きは進んでいきます。

ここで、注意が必要なのは”身に覚えのある内容であろうが無かろうが”手続きは進むということです。

裁判所は、支払督促の場合、形式的に問題のない申し立てであれば受理し、手続きを進めます。そして、何の反論もせず放置した場合、あれよあれよと気付けば”差押命令”が手元に届くなんてこともあり得ちゃうんです。

通常の裁判の場合は、訴えた側(原告)に最低限の立証責任はありますが、次のようなケースもあり得ます。

たとえば、以前原告に10万円借りたが既に返済した。それにも関わらず、10万円払えと訴えられた場合、原告は10万円貸したことさえ証明すればよく、訴えられた側が返済したという反論をしなければ、10万円支払えという判決が出てしまう可能性もあります。

また、全面的に身に覚えのある内容の場合でも、無視はしない方が得策です。

無視をすれば当然相手側全面勝訴の判決が出てしまう可能性が高い。判決が出る前であれば、相手の多少の譲歩も期待できますが、判決後は期待できませんし、差押となれば、職場や銀行などに通知が行ってしまう可能性もあります。

したがって、裁判所からの郵便物は絶対に無視せず、

間違っているものは「違う!」

知らないものは「知らない!」

相手の言い分が正しくても「すこし譲歩してください!」

と反論することが重要です。

相続放棄はいつまで?

相続放棄はいつまでにしなくてはいけないかご存知ですか?
原則、亡くなってから三ヶ月以内です。
ただ、三ヶ月を過ぎてしまったからといって諦めてはいけません。
いくつかの例外があります。
例えば、疎遠になってたりすると、亡くなったことすら知らない内に三ヶ月経っているということだってあり得ます。そういう場合は、亡くなったことを知ってから三ヶ月以内に手続きすれば大丈夫。
他にも、亡くなったことは知っていたけど、ある日突然、借金の請求書が送られて来た!!という場合もあります。この場合も、その借金を知ってから三ヶ月以内であれば、相続放棄出来る可能性は十分あります。
このように、あくまでも"原則"亡くなってから三ヶ月なので注意が必要です。

逆に、三ヶ月以内でも、相続放棄出来ない場合もあります。それは、亡くなった方の財産の一部でも相続してしまった、もしくは使ってしまった場合です。亡くなった方の借金を払ってしまった場合も同様です。
この場合は、相続財産(借金も含む)を相続する意志表示をしたものとみなされてしまうため、三ヶ月以内でも相続放棄が出来なくなります。

やり直しは出来ませんので、可能な限り相続財産を調べてから、相続するのか放棄するのか、慎重に判断しましょう。


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